データベースという言葉、ご存じですね。
キーワードで検索したら、該当するデータがずらっと表示されるあれです。
データベースは、「名前」「住所」「電話」「年齢」などの項目ごとにデータを入力することで、何万というデータから高速に必要な情報を抜き出してくることができるようになっています。
たとえば、検索画面で、「名前」という項目に「田中」と入力すると、何千という田中さんが表示されます。
また、年齢に「50」と入れると、何千という50歳の人のデータが表示されます。
「名前」にも「年齢」にもそれぞれ「田中」「50」と入れることで、「田中さんで50歳の人」と絞り込んだ情報が表示されます。
さて、20年以上前、個人でパーソナルデータベースをつくる時代が始まりました。
ポータブルワープロが流行していた時代です。
みんなが住所録をつくり、年賀状を印刷するようになりました。これも立派なデータベースです。
私はといえば、PC−9801用のデータベースソフトで、ひたすら、雑誌の教育情報を入力し、データベースを構築していました。
しかし、およそ5年間続けた後、1000件くらい入力したところでやめてしまいました。
それは構築する労力に比べて、利用する機会がほとんどなかったからです。
パーソナルでの知的生産に役立つデータベースの構築は挫折しました。
しかし、それから20年間、ずっとある願いを持ち続けてきました。
それは、「自分が蓄えた情報や知的生産物をすべて登録しておいて、いつでも引き出せる夢のようなシステム、パーソナル・データベースができたらな・・・」という夢。
ただし、以前の挫折から、「地道に構築する」のはこりごりです。
また、「何という雑誌の」「何ページに」「こんなタイトルの」情報があるので、あとは実物でさがしてね、というインデックス型データベースもなんだか不毛でいやです。「情報そのままをそっくりそのままデータベースに放り込んでおきたい」と思っていました。
また、項目が決められているのもいやでした。規格化すると検索には便利かもしれませんが、そうすると蓄積できる情報とできない情報ができてきます。私は1行のメモでも、A4数十枚に及ぶ論文でも「何でも」ほうりこみたかったのです。
* 不毛な地道な構築をしなくてもよく、生産したものが「データベースに入力する」という意識をせずいつのまにか蓄積され、検索対象になる。
* インデックスだけでなく、情報そのものを蓄積しておける。
* 文書でも写真でも音楽でも声でも「ファイル」なら何でも蓄積しておける。
そういうデータベースを夢見てあれこれためす20年間だったといえます。
そして、2009年、Evernoteが20年来のその夢をあっさり解決してしまいました。これらを全部可能にしたのです。
感激に打ち震えながらインストールし、データ蓄積を始めました。そして、モバイルでEvernoteを使うために、その理由だけで、私はiPhoneを買ったのでした。
そして・・・
さらにEvernoteはその上をいっていました。
* データの入力のために家に帰ってPCを起動する必要はない。出先から携帯やスマートフォンで入力できる。
* データベースにアクセスするために家に帰ってPCを起動する必要はない。出先から携帯やスマートフォンでアクセスできる。
・・・というように、データ構築、検索、参照に場所を選ばないこと。
* 写真を撮ったら、それがそのまま蓄積される。
* タイムログをとるだけで、自動的に転送されライフログが構築される。
* TwitterでのTweetは翌日自動的に転送され蓄積される
* 本を読んでTwitterでつぶやいたら、読んだ本の名前とカバーイメージ、紹介文までが自動的読書記録としてに蓄積される。
* GPS機能により移動した履歴が記録され、地図と共にライフログとして蓄積される
* インターネットで調べたサイトをクリップしたら自動的に転送、構築される
・・・というような自動的なデータベース構築
これによって、構築を地道に行うという時間を取る必要がなくなりました。
そうです。
「入力の方法も、場所も、サイズも、種類も、そして参照の方法も場所も、すべてにおいて自由な、データベース」
これがEvernoteです。
Evernoteの登場が情報をうまく利用したいと思っている人にとっていかに大きな出来事だったのかおわかりいただけたでしょうか。
そしてこれが、Evernoteの画面です。
一番左の黒い欄は、後々説明することになりますが、データの入れ物である「ノートブック」がならんでいます。ここにデータが入っています。
真ん中の欄は、データの単位である「ノート」のリストです。「ノートブック」のリストが表示されることもあれば、検索によって抽出されたリストが表示されることもあります。また、数万をこえるようなすべてのノートのリストを表示することもできます。
そして右側の一番広いエリアが、情報そのものが表示される場所です。新しいノートをつくったときはここが真っ白になり、自分で情報を書き込んでいくこともできます。
この記事の原稿は、このようにしてEvernote上で書きました。
次回は、「わかったけど、これ、何に使えるの?」ということについてお話しします。
そろそろEvernoteを初めて見たくなったという方は、こちらからどうぞ。