Evernoteがどんなものでも蓄積しておけることはわかったけど、あまりに自由すぎて何をしたらいいのかわからない、という話をよくききます。
昔からデータベースを扱ってきた人なら、Evernoteの登場はその延長上のできごととしてぴんと反応できたのですが、そうでない人たちは、さまざまなとらえかたをしていたようです。
ある人はファイルの格納庫であるととらえ、DropBoxとどう使い分けたらいいのかと考えていました。
ある人はメモ帳であるととらえ、メモ帳としてはエディタの使い勝手が悪いと思っていました。
これはどれも正解であるといえます。そして、そのどちらだけでもありません。
Evernoteのデータベースとしてのすごい検索能力
Evernoteの検索能力はとても高いです。万をこえるようなノートからでも、キーワードを入力し終わらないうちにどんどん候補を表示してくれます。
上は、前回の記事をEvernoteにクリップしたものです。クリップということについては後日詳しく説明しますね。私のブログの記事をEvernoteに保存したものだと考えてください。
「今更」という言葉を入力しただけで、左側の欄に、ずらっと「今更」という言葉をふくむノートがリストアップされています。14000ものノートから瞬時に119個ものノートを選び出してくれています。(ちなみに、左側のリストには、今後記事にする「今更人に聞けないevernote」も第10回分まで書き溜めているものがリストされています。)
さらにもう少し言葉を打ち込み、「今更ながら」にしたら、これも瞬時に左側の欄のリストが絞り込まれました。
119個もあったノートが40個にまで絞り込まれています。
これがevernoteの検索能力です。
すごいでしょう?思いついた言葉を入れるだけで勝手にリストアップしてくれるんです。
私は事務に関する処理の仕方についての情報をたくさん入れていて、忘れたり困ったりしたときには参照するようにしていますが、本当にあっというまにほしい情報にいきつくことができます。
だからデータベースとしての能力は十分。
蓄積したデータベースは項目毎にこまかく分類・整理することができるのですが、全く整理しなくたってかまいません。ただ放り込んだだけでもかまわないのです。
Evernoteはそれほど「見つけたい情報」を見つけ出す能力に優れているのです。
ところが、Evernoteは検索・参照だけの「ただのデータベースではありません。。
検索した情報を「知的生産」に結びつけることができるためのさまざまな仕組みがあり、「データベース」と言われて思い浮かぶ概念を超えているのです。
参照・検索のためのデータベースにおわらないEvernote
たとえば・・・
- 学生が論文を書くための資料を集め、参照しながら論文を書く。
- ビジネスマンが、蓄積した情報やアイデアをあれこれつなぎあわせて新たな価値をつくり、企画に役立てる。
- 教師が授業のための資料を蓄積しておき、それらを参照しながら指導案をたてる
- 新聞やネットのニュースを蓄積しておき、それらを参照してレポートを書く。
- 料理のレシピや写真を蓄積しておき、参照しながら料理をつくったり、あらたなレシピをつくりだして新たな情報として入力する。
- 読書の抜き書きメモをつくっておき、参照しながらブログを書く。
・・・といったことを容易に行うことができるように、
- 必要なデータを抽出してまとめたり、でーデータたそのものをつなぎあわせたりすることができます。
- 思いついたことをその場でノートにするためのエディタが備えられています。
- データ間を移動するためのナビゲーションがあります。
以上のような仕組みがあります
つまり、Evernoteは知的生産を行うためのデータベースであるととらえるとわかりやすいと思います。
これを一般的なデータベースであるAccessなどでやろうとするとたいへんです。
参照しながら知的生産をする、というようなことは基本的にできません。Evernoteは一つ一つのレコードが直接書き込むことができる「ノート」仕様になっているからこそできるのです。
また、検索は、一般的には「住所」とか、「名前」などのフィールドごとにキーワードを入れて検索を行うようになっていますので、全体に対して一気に検索をかけると時間がかかることが多いのです。
入力のためのフィールドをつくるだけでもたいへんです。何千行、何万文字にもわたる論文をそのまま入れるフィールドをつくっても、あるレコードではたった1行のメモしかつかわなければその分に予約された膨大なメモリーが無駄になってしまいます。
たった1行のメモと何千行にもわたる論文とを同じレベルで扱える、ということ自体がどれほどすごいことであるか。昔からパーソナル・データベースの夢を老い続けてきた私たちにとってそれはかなりの瞠目ものだったのです。
このように一般的なデータベースは、膨大な数のデータから効率よく必要なデータを検索するためのものですから、そもそも用途がちがいます。
Evernoteは「蓄積」と「検索・参照」というだけでなく、「生産」を含め、これら一連の作業を容易にするために使えるデータベースです。
すべてがひとつに中にあるEvernote
そして驚くべき事に、上にあげたさまざまな例で使うデータは、「論文用」とか「料理用」「読書用」など別々のデータベースファイルである必要はありません。
すべて「一つ」の中に放り込んでおくことができるのです。なぜならEvernoteは検索・参照がとても容易だからです。
「ありとあらゆる気になった物」をどんどん放り込んでおき、あとから検索・参照しながら何らかの知的生産を行う。
これがデータベースを超えたEvernoteのポテンシャルだといえます。
次回からいよいよEvennoteに情報を入力していきましょう。